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認知症はよくなるか

認知症はよくなるか~認知症リハビリテーションの実践~

この5つの基本ケアで、認知症の方の大部分はかなり良くなります。ただ、この認知症が良くなるとは、記銘力とか、理解力が昔のように良くなるということではありません。
問題症状の減少ということが特徴になります。認知症の方たちは、自分たちが、害もなく、周囲から受け入れられることを知り、安心していく中で変化がおきていくのだと思われます。
問題症状の起こる頻度が減り、勢いが弱くなることで、穏やかになってお付き合いがしやすくなり、ケアしやすくなって、今まで認知症のためにできなかったことがいくつかできるようになります。同時に人間らしさを取り戻せます。
このような成果を得るためには、私たちは、5つの基本的ケアだけでは十分ではなく、もっと専門的な認知症のための特別プログラムが必要であると考えはじめました。・ご利用者おひとりおひとりに、よりきめ細かくかかわっていく、あるいは、もっているエネルギーや能力をより積極的に発揮していただくため、上川病院時代、院内グループホームや合奏プログラムの実践でした。法人の理念とケアの実践には、これらの経験が基礎となって運営されています。

グループホームケア ~個性的な認知症ケア~

認知症がかなり進行していても、昔から何十年間、何万回と行った行為や行動は結構出来るものです。例えば、家事、茶碗を洗う、床を拭く、ご飯をよそう、お茶を入れるなど。 こういう行為は認知症の方でも少し手伝ったり、見守ったりすればできることが多いのです。グループホームケアとは、かつて自分の家で行われていたこれらの日常的な行動や行為を、ごく自然に行ってもらうプログラムです。患者さんのグループも10人程度の少人数、そして、病棟とは別のリビングとダイニングを合わせた空間が用意されています。
認知症であっても、患者さんの出来ることが多くなり、失われていた自信を取り戻す、そのうち集団の中で自分の役割が出てきます。すると自分はいきていても良いのだという実感が湧き、余裕が出てくる。他人への気遣いができ、他人にも優しくできるようになる。そこには本当の思いやりと、他人と付き合うルールとしての礼儀の双方がありますが、いずれにせよ、しぐさや態度に優しさを表すことができれば、集団生活は一層しやすくなってきます。
目の輝きが増してきて、皆、生き生きとし、食事の量も増えてくる。お洒落にもなってくる。これは人間らしさを取り戻してきたと言えると思います。
このグループホームケアは、認知症の方の入院・入所時のきめ細かなケアのための試みでもあり、特に進行防止のための治療的な意義が強くあります。こういったリハビリスタッフやケアタッフが共同して行う認知症ケアこそ「認知症のリハビリテーション」の名にふさわしいものだと考えます。

ターミナルケアの視点

認知症という自己決定をほとんどできない状態で入院されている方々の最後の時をよりホスピスケア、緩和ケアーに近づけるけるよう模索をしつづけてきました。病院や施設であるからには専門家集団がかかわるわけですから、在宅よりもより良い終末期でなくてはならない、そういうターミナルケアをめざしています。
一般的ににはターミナルは突然来るわけではありません。起きる、食べる、排泄、清潔、アクティビティという5つのケアーを徹底することで、より人間らしさのある時間を過ごすことができます。その後、食べられなくなる、身体合併症を生ずる、等の経過も含めターミナルに近づくわけです。その時、わたしたちはご家族の患者さんへの思いや知識や他の感情をよく理解し、専門的な情報もできるだけ解りやすく説明し、お互いに後悔の残らないよう、納得のいくターミナルになるよう、いつも確認しあいながら治療・ケアを提供していきます。
以上がわたしたちの高齢者とくに認知症の方へのケアの基本的な考え方です。もちろんパーフェクトにできているわけではありません。社会制度などの限界もあり難しいと思える課題もあります。しかし、常に目標をもち努力していくこと、不可能に見えることにも挑戦していくこと、それがわたしたちの開院開設以来の伝統であり精神です。

そのひとつの成果が抑制廃止に結実しましたが、それははじまりです。私たちはよりきめ細やかなケアをめざして、ひとりひとりのご利用者のみなさまにご信頼いただけるよう、今後も全力を尽くしてまいります。

➡ リハビリテーションサービス

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